「離婚を前提としない別居」を考えている方々に向けた記事です。

離婚をしないのになぜ別居をするのか?と考える方もいらっしゃるかもしれません。ですが、最近は芸能人にも「冷却期間を置くための別居」をする人が増え、そのような別居の意味も理解されてきたと思います。ある程度の距離を置くことで、家庭の問題について冷静に考え、気持ちを改めて話し合うことができる場合も多いと思います。

しかし、別居中の配偶者(特に子供が同居していない場合)には浮気の誘惑が多いのも事実です。独身時代のように自由に動けますし、妻の目もありません。別居中の浮気、浮気に関するトラブルを防ぐために抑えておきたい4つの対策をご紹介します。


1.別居の前に「離婚前提でない」という共通認識を持つ
別居を始める前に、この別居がどんな意味を持つのかということの共通認識を持ちましょう。

「離婚を前提とするものではない。」
「ゆくゆくは元通りの同居生活を目指す。」

というものです。ふたりの婚姻関係は破綻していないのです。

基本的なことですが、「その間の浮気は離婚や慰謝料請求の対象となる」ことを理解してもらいましょう。

別居中に浮気をしてはいけない。とても基本的なことですが、それがわかっていない人が多いのも事実なのです。別居について一度学ぶ・学んでもらう機会を持つ意味でも、これは重要なことです。なんとなく目的をなあなあにしたまま別居に突入しないようにしましょう。


2.別居の期間を明白にしておく
別居の期間は必ずしっかり決めておきましょう。別居の前に決めるのはもちろん、その後延期することになっても、次の期間をきちんと決めておきます。期間がいつかということよりも、「期間が設定されている」ということが重要なのです。これは非常に具体的な「婚姻関係が破たんしていない」という証拠にもなり、浮気をすれば慰謝料を請求されるということで浮気の予防線として役立ちます。

長い別居になるとゴールについてもあいまいになりがちです。期限を決め、できればそのたびに別居の目的は変わっていないのだということを確認しましょう。延期が重なると面倒ではありますが、あまりに遠い期限より、2.3か月を目安に設定するようにしておきたほうがよいと思います。


3.定期的に会う・部屋の掃除などを申し出る
「別居後、定期的に夫婦が会っている」ということも、将来の同居に向けて大切なことです。完全に生活が切り離されてしまえば、離婚に近づいてしまうのも無理はありません。お互いの状況を確認するためにも顔を会わせる機会を作りましょう。数週間に1度、1か月に1度というペースで問題ありません。たまに会うのであれば浮気をしているような怪しい雰囲気は余計よくわかるものです。

喫茶店や飲食店など、自宅の外で会うのも問題ありませんが、可能な限りお互いの家を会う場所にしましょう。夫だけが出て行った場合、夫の一人暮らしの部屋こそチェックを入れたいものですが、夫だけがチェックされる立場になれば不公平感が生まれてしまいます。

会う時間を調整できない場合は、部屋の掃除や家事を申し出て鍵を借りられるようにしたりするのもよいでしょう。スムーズに同居生活に移る手助けとなります。勝手に部屋に入った場合、不法侵入とみなされる場合もありますので、必ず本人の許可を得るようにしましょう。


4.合意書を作成する
1~3の決定事項について、合意書を作成できればベストです。なかなかこのような「合意書」作成に応じてくれない場合があるかもしれませんが、法的な書類でなくとも構いませんので、取り決めをした旨とお互いのサインを残すような形にはしたいものです。

相手を縛り付けたり押さえつけたりするものという意義ではなく、お互いのルールとして、どちらにとっても重要なものと説得し、応じてくれない場合にはこれだけは譲れないという強い態度を見せましょう。応じなければ別居に踏み切ることはできない、とはっきり意思表示してください。


浮気予防=浮気したときの慰謝料を確保することにも
上記の事柄は浮気の予防策としてご紹介しましたが、すべてそのまま「配偶者が浮気した場合の慰謝料を確保するために必要なこと」にもなります。同居を目指す人にとっても、最終的に離婚を選ぶことになる人にとっても、自分自身を守ってくれるものになると思います。


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判例では、同居している夫婦の関係は破たんしているとみなされません。つまり、「同居していれば婚姻関係は続いているという前提で考えられる」のです。婚姻関係が続いている夫婦にとって、「同居していること」が非常に重要なことであるのがご理解いただけると思います。

逆に言えば、別居している夫婦の関係は少なからず離婚を意識したものと考えられて当然だと言えます。

「別居には、別居しているという事実を乗り越えて夫婦関係を続ける強い意志が必要である」
このようなことを認識した上で、別居について・夫婦について、十分に話し合って欲しいと思います。