「既婚者と浮気をしている女性へのメッセージ/前編」の続きです。
既婚者との不貞行為が事実であれば、その妻から慰謝料を請求された場合、慰謝料を支払わなければなりません(交渉により、減額や分割もありえます)。しかし、それは「故意の不貞行為」であるからこそ、その代償を払わなければならないのであり、故意でなかった場合には 支払う必要がありません。
以下、詳しくご説明します。
既婚者の嘘で浮気行為に発展した場合
次のような場合、既婚者である男性と浮気をしても、慰謝料を請求される可能性は低くなります。
- 既婚者である男性が「結婚はしていない。独身である」と嘘をついていた。
- 既婚者である男性が「離婚を前提に別居している」と嘘をついていた。
嘘の上に成り立っている浮気行為です。あなたは婚姻関係が破たんするかもしれないとわかって既婚者男性と不貞行為に及んだわけではなく、故意ではありません。慰謝料が請求されるのは、故意に婚姻関係を破たんさせた場合とされています。
(もちろん、倫理上の話をするならば、どんな形であれ既婚者は妻以外の女性と性的な関係を結ぶべきではありません。風俗のような一時的な性的関係についてはまた別の解釈がなされています。)
「ずっと家庭ではうまくいっていないと聞いていました。なのに、5年経過しても離婚の話は具体的にならず、どうなっているのかと改めて聞いてみたら『やはり離婚はできない』と言われました。納得がいきません・・・。」
こちらを例にあげて考えてみると、「うまくいっていない」という言葉で、男性が「夫婦関係が冷え切っており、回復不可能だ」とあなたに思い込ませていたのであれば、あなたは嘘をつかれていたことになるでしょう。妻から慰謝料を請求された際にも、強く訴えるべきことです。責任は夫である男性にあります。
しかし「5年経過しても離婚の話は具体的にならず」という点で、あなたが確認を怠ったと指摘される可能性もあります。これは「過失」に当たり(普通に考えて離婚の可能性はないと判断できる状況なのに浮気を続けたという意味での過失です)、慰謝料を払うべき点であると指摘されてしまう可能性もあります。
「うまくいっていない」という表現以外にも、あなたを騙すような口ぶりがなかったかよく考えてみてください。メールもすべて保管し、確認しましょう。夫婦が同居している場合、基本的には婚姻生活が破たんしているとみなされないので、男性がどの程度の期間(あるいはどの程度の頻度で)あなたの家を訪ねていたかなども重要な証拠となります。
少しでも早い段階で、今の夫婦生活の真相を確認する必要があるということを忘れないようにしてください。浮気・不倫の期間が長ければ長いほど、あなたが故意ではなかったことの証明がしにくくなってしまいます。
これからの生活を冷静に考える転機
妻から不貞行為に対して慰謝料請求をされたとき、あなたはパニックに陥るでしょうか、こうなってしかたないと思うでしょうか。いずれにせよ、慰謝料が請求された事実は変わりません。これを転機として、将来について十分に考える必要があります。既婚者である男性が、今後妻と家族を中心に考えるのか、あなたを中心に考えるのかがよく理解できるチャンスでもあるのです。
男性は奥様と離婚し、あなたとの結婚を選ぶ可能性もあります。世間には、不倫を経て結婚に至ったご夫婦もいらっしゃいますし、それも人生のひとつです。しかし、結婚後も慰謝料や養育費を支払い続けなければならないという金銭的な問題でどうしても夫婦関係がぎくしゃくしてしまったり、浮気から始まった関係であるため「また浮気をするのでは」という不安が付きまとったりと、大変なことはむしろこれから続くかもしれません。離婚した夫婦に子供がいれば、離婚してもその子供の親であり続けるわけです。
なぜ夫婦関係がうまくいかなくなったのか。その原因に浮気があったことは確かでも、それだけではないかもしれない。そういったことも見極められるよう、十分に時間を置いて考えて欲しいと思います。慰謝料を請求された経験は、無駄にはなりません。
傷つけないように・傷つかないように
不倫・浮気を長く続けてしまい、なかなか抜け出せない女性は少なくありません。というのも、男性が浮気相手を「離婚できそうだができない、離婚できたら結婚したい」というような宙ぶらりんの状態にしてしまうことが多いからです。好きになった相手がもう結婚していた相手だった、それはしかたのないことかもしれませんが、やはり不倫・浮気の一歩前で踏みとどまる責任があるのは既婚者のほうだと思います。
しかし、その責任を放棄してしまった相手に対し、次に正しい判断ができるのは不倫相手になってしまった女性、あなたひとりです。ひどく特殊な状況の中でなかなか他人の意見が耳にはいらなくなることもあるかもしれませんが、男性の家族を傷つけないよう(どんな夫婦の状況であれ、その家族を傷つける権利はあなたに一切ないのです)、これ以上自分自身が傷つくことがないよう、冷静に対処してほしいと思います。
公平な目で物事を判断できる第三者の目、その方々からいただくアドバイスも、大切にしてくださいね。