これまで私は、当サイトで「浮気をされている方々」に対して記事を書いてきました。今回は逆に、既婚者と浮気をしている女性へのメッセージを書かせていただこうと思います。浮気相手にも慰謝料は請求されるのか?別居中の浮気でもいけないことなのか?浮気相手の女性にとって問題となることはこのようなことです。

しかし、中には慰謝料等の話以前のところで思い悩む女性が大勢います。

「ずっと家庭ではうまくいっていないと聞いていました。なのに、5年経過しても離婚の話は具体的にならず、どうなっているのかと改めて聞いてみたら『やはり離婚はできない』と言われました。納得がいきません・・・。」

このような相談に対し 、実際に既婚者の家庭がどんなふうになっているか調べてもあまり意味はありません。離婚を選ぶかどうかは、男性の家庭の状況とは関係なく、その男性の意思にあります。「慰謝料や養育費を払ってまで離婚したいと思っていない」というのは、今その人にお金があるかどうかの問題ではなく、浮気相手のために慰謝料や養育費を稼ごうとする気があるかどうかという問題なのです。

すべての結婚が善で、すべての浮気が悪なのではありません。守るべき順序を守り、当事者に誠意を尽くす気があるのであれば、結婚と離婚を経て結ばれる男女もいてもおかしなことはありません。 守るべき順序を守り、当事者に誠意を尽くす、それができないような関係のために人生を無駄にしてほしくないと思います。


「浮気相手」でいることのリスク・慰謝料
まずは浮気相手でいることのリスクをご説明します。具体的には「既婚者の浮気相手」として、妻に慰謝料を請求されることです。結婚したことにより、夫婦間には次の義務が発生します。

  • 同居の義務
  • 協力義務
  • 扶助義務
  • 貞操義務(民法上に規定はないが離婚原因となる)

貞操義務違反は離婚の原因として認められており、夫には慰謝料が請求されます。「離婚の原因として認められている」というのは、離婚に至ってもやむなしと裁判でも認められる理由のひとつであるということであり、他の原因で離婚するよりも慰謝料が高額になる傾向があります。

妻としても高い慰謝料を払ってもらって離婚したほうがよいわけです。浮気によって婚姻関係が破たんしてしまったのであれば、それを証明した上での離婚をしようと考えて当然のことです。

さらに、浮気をされた妻はその原因を作った浮気相手の女性にも慰謝料を請求できることになります。もし夫が浮気相手であるあなたの家に入りびたり、自宅に帰っていないのであれば「夫婦の同居義務」にも違反しており、これもまた慰謝料を払わなければならない要因となります。


慰謝料は絶対に払わなければいけない?
浮気相手であるあなたに慰謝料請求の要請が来たとします(法的な書類が内容証明郵便などで郵送されてきます)。次のような内容が含まれているはずです。

  • 浮気(不倫)相手の名前
  • いつから不倫をしていたかなど不倫に関する内容
  • 慰謝料金額(請求金額)
  • 慰謝料支払いの期限
  • 慰謝料請求に応じなかった場合について(法的措置の説明)

実は、これ自体に法的な拘束力はありません。例えば、あなたに送られてきたこの内容がまったく身に覚えのないものであれば、それなりの返答をすべきで、いきなりその通りの慰謝料を支払う必要はないのです。

しかし、内容が事実であり、本当に既婚者である夫と継続的な不貞行為があったのであれば、やはりこれに従わなければ訴訟を起こされる場合もあります。納得できない点がある場合にも、完全に無視しては後々あなたが不利になってしまいます。

慰謝料請求の書面には連絡先があるはずですので(個人でなく法律事務所や行政書士事務所の場合もあります)、減額などのお願いをすることもできます。浮気行為の時期などに間違いがあればきちんと指摘し、期間が短かければ減額にも応じてもらいやすくなるでしょう。減額だけでなく、分割等の支払いをお願いすることもできます。


浮気(不倫)相手への慰謝料金額はどれくらい?
浮気(不倫)相手へ請求される慰謝料の金額はケースによって幅があり、50万円から300万円と言われています。300万円というのは、浮気により婚姻関係が破たんして離婚に至ったために高額になったというものでしょう。

慰謝料を払いたい人など誰もいないと思います。しかし、浮気行為が事実であればあなたは「慰謝料を払っても当然の行為をしていた」という自覚があったということになります。それが社会的な判断なのです。慰謝料の請求に対して不当な対応(無視する、逃げる)ということは、さらにあなたの立場を悪くしてしまい、妻は腹を立てる一方です。過ちを素直に認め謝罪すること、その上で今後浮気行為をしないことを約束し、慰謝料の減額を認めてもらうほうが、新しい第一歩をやり直す近道となる。そう考えてほしいと思います。


慰謝料以外の示談内容
既婚者である男性と別れることに不倫相手であるあなたには、慰謝料だけでなく次のようなものを求められる可能性もあります。

  • 夫に対する求償権の放棄
  • 夫に今後接触することを禁じる誓約書
  • 不倫に対する謝罪文

「求償権」とは、「本来慰謝料は不貞行為に及んだ二人で支払うもの」という考えのもと、妻に支払い終えた慰謝料を夫に請求する権利のことです。このような示談の内容は法的な拘束力がありますので、慎重に対応する必要があります。



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さて、冒頭に書いた「ずっと家庭ではうまくいっていないと聞いていました。」という発言を見直してみてください。
この「うまくいっていない」が現実的にどんな状況であるのかによっても不倫相手の立場が変わります。同居しているが夫婦間の雰囲気が悪いだけで「うまくいっていない」のか?別居しており離婚届を提出する一歩手前なのか?

既婚者と浮気をしている女性へのメッセージ/後半 に続きます。