次の記事を先にご一読いただくことをおすすめします。
「浮気相手の子供かもしれない・1~確認方法・検査についての考え方~」
「浮気相手の子供かもしれない・2~血液型と血液型検査~」
上記2つの記事でご説明した、
- 不貞行為がいつあったかによる妊娠妊娠時期の判断
- 血液型判断および血液型検査
いずれの方法でも、自分の子供か浮気相手の子供かが判断できなかった場合、最後に残る手段がDNA鑑定です。
不貞行為を証明するためのDNA鑑定については、法的に定められているものがありません。しかし、DNA鑑定の鑑定結果の正確さ(99%以上と言われています)については非常によく知られているものであり、検査・鑑定結果自体は十分信頼に足りるものとして裁判の証拠にも使われます。
ただし、鑑定結果を裁判の証拠として使用するには一定の条件を満たす必要がありますので、このあたりも含め、DNA親子鑑定についてご説明していきたいと思います。
DNA親子鑑定とは?
DNA親子鑑定とは、人間の細胞に含まれる「DNA」を採取し、そのパターンを読むことで親子関係にあるかどうかを調べるという方法です。遺伝子情報を担っているDNAの核酸塩基配列、その繰り返しの回数は人によって異なり、その人、あるいは親子、血縁関係などを証明することができます。
DNA鑑定というと血液採取を想像されるかもしれませんが、唾液や体液、尿、毛根などからも採取することができます(最近の技術では、抜け落ちた髪の毛などからも判定は可能とされていますが、やはり「高度な技術が必要」というレベルです)。
DNA親子鑑定をするには?
DNA鑑定は、一般的な病院では実施してもらうことができません。事件や事故等でDNA鑑定が必要であると公的な機関により依頼された場合のみ実施され、個人の依頼を受けることはないとされています。一方で、DNA鑑定をしてくれる民間の機関は多く、個人的な鑑定(公にしないもの、裁判で使用しないもの)に関しては4~5万円程度で依頼することができます。
中には、検査依頼を日本で受け付け、実際の検査を海外に委託するような業者もあります。この場合、費用はさらに低くなることが多いのですが、よく条件を知り、信憑性が欠けるものにならないかを確認する必要があります。信頼できる機関・業者を探偵や行政書士を通じて紹介してもらうのもよいでしょう。
DNA親子鑑定を裁判の証拠にするには?
案外安くできるんだな・・・と思われた方も多いと思いますが、上記の費用はあくまでも「個人的に知りたい場合」であり、法的に効果のある「証拠」として使うとなると、一定の条件を満たす必要があります。
条件とは、経済産業省による「個人情報保護ガイドライン」に則って定められたものです。
・インフォームド・コンセント(鑑定に対する同意)を得なくてはならない。
・適正な人物の立ち会いがなければならない。
そのため、証拠を黙って採取する場合には裁判の証拠に使えません。どこから証拠を持ってきたのか?本当に該当本人のDNAなのか?ということが確定できないためですし、もちろんプライバシーに関する問題も大きいところです。むやみに第三者のDNAを鑑定することもできてしまうわけですから、本人のものと証明する立会人は重要です。
もし、とりあえず親子でないことを証明し、正式な裁判に持ち込むための手段として「私的鑑定」をした場合には、その証拠を以って妻や浮気相手と話し合い、その後もう一度「裁判用の鑑定」をする必要が出てくるでしょう。裁判用鑑定は法的鑑定とも呼ばれ、鑑定書などの依頼をすることもできます。価格は10万円以上を見込んだほうがよいでしょう。
出生前DNA親子鑑定は可能?
出生前DNA親子鑑定とは、生まれる前の赤ちゃんが父親の実子であるかどうかを確認することができる検査です。以前は妊娠中の母親から羊水(子宮内に満たされる水)を採取し、それにより検査を行っていました。しかし、羊水の採取は「お腹の外から注射針を刺す」という方法で行われ、流産のリスクを伴うと考えられています。今でも行われることのある検査ですが、可能な限り避けたいものです。
羊水検査よりも安全な方法として開発されたのが、母親の血液検査によるDNA親子鑑定です。母体の血液中から胎児のDNAを採取するという方法で、これなら流産のリスクもありません。
出生前DNA親子鑑定は、病院の協力がなければ行うことができません。病院は一存で鑑定の実施を決定するわけでなく、さらに弁護士や行政書士などの立ち会いも必要になります。今後の裁判の展開を見据えて行うべき鑑定であるということを認識しておいてください。
さいごに
「浮気相手の子供かもしれない・1~確認方法・検査についての考え方~」でも申し上げた通り、事実が判明した後にどうするかということが最も重要です。検査・鑑定が必要か、どのように実施するかを考えながら、さらにその先を考えるのは非常に難しいことですが、弁護士や行政書士にも相談し、納得のいく結果が得られるよう可能な限りの対応をしましょう。もちろん私たち探偵もお手伝いさせていただきます。
・・・なお、DNA親子鑑定が唯一通用しない例があります。
妻の不倫相手があなたの「一卵性双生児の兄弟」であった場合、DNAは同じと推定されますので。
なかなかないことですが、念のため。